アスペルガー症候群 診断基準

006 アスペルガー症候群の診断基準

スポンサード リンク


 

アスペルガー症候群の診断基準はひとつだけではない

 

アスペルガー症候群 診断基準

アスペルガー症候群の特徴は色々あり個人差もあるため、専門医でも診断は難しく、アスペルガー症候群の特徴と似た症状があっても、単純にアスペルガー症候群だと診断できるものではありません。

 

アスペルガー症候群は、「@言葉の理解や使い方が独特である A相手のしぐさや表情から気持ちを察することが苦手 B行動パターンが決まっており、こだわりが強い」という特徴が見られるのですが、五感(味覚・聴覚・嗅覚・視覚・触覚)のアンバランスさが全くない場合は、アスペルガー症候群である可能性は低いと言えます。

 

ただ、何らかの判定基準がなければ診断することができないため、現在ではアメリカ精神医学会が作成した「DSM-W(精神疾患の診断・統計マニュアル第4判)」やWHO(世界保健機関)の「ICD-10(疾病および関連問題の国際統計の手引き)」を使って診断しています。ちなみに、その2つには大きな違いはありません。下記に、アスペルガー症候群の診断基準を紹介していますが、それだけで診断を確定させるのではなく、乳児や幼児の頃の気になっていた点なども併せて診断します。

アスペルガー症候群の診断基準

 

A.
以下の中で、少なくとも2つにより示される対人的相互反応の質的な障害
@目と目で見つめ合う・顔の表情・体の姿勢・身振りなど、対人相互反応を調整する多彩な非言語的行動の使用の顕著な障害。
A発達の水準に相応した仲間関係を作ることの失敗。
B楽しみ・興味・達成感を他人と分かち合うことを自発的に求めることの欠如。
C対人的または情緒的相互性の欠如。

 

B.
行動・興味および活動の限定的・反復的・常同的な様式で、以下の少なくとも1つによって明らかになる。
@その強度または対象において、異常なほど常同的で限定された型の1つまたはそれ以上の興味だけに熱中すること
A特定の機能的でない習慣や儀式に、かたくなにこだわるのが明らかである。
B常同的で反復的な衒奇(げんき)的運動。(衒奇的運動:手や足をバタバタさせる・ねじ曲げるなどの複雑な全身の動き)
C物体の一部に持続的に熱中する。

 

C.
その障害は、社会的・職業的または他の重要な領域における昨日の臨床的に著しい障害を引き起こしている。

 

D.
臨床的に著しい言語の遅れがない。

 

E.
認知の発達・年齢に相応した自己管理能力・適応行動(対人関係以外)および小児期における環境への好奇心について臨床的に明らかな遅れがない。

 

F.
他の特定の広汎性発達障害または統合失調症の基準を満たさない。

なお、幼い頃に大きな事故や病気をしている場合・未熟児で生まれた場合・アスペルガー症候群とは無関係の症状が見られる場合は、MRI・CT・血液検査などの検査を行うこともあります。

スポンサード リンク


 

アスペルガー症候群の知能検査

 

アスペルガー症候群 知能検査

アスペルガー症候群を診断する際、上記の診断基準と併せて知能検査が行われることもよくあります。知能検査はいくつもの種類があり、体調や心理状態によって違いがでることもありますが、知能検査は診断材料となるだけでなく、子供の得意な分野や不得意な分野が明確になるため、子育てをする上で非常に役立つものとなります。

 

◆よく用いられる知能検査(年齢別)

 

■幼児の場合:ウェクスラー式知能検査のWPPSI-V(3歳10ヶ月〜7歳1ヶ月)
【 問題構成 】
<< 動作性下位検査 >>
・動物の家・絵画完成・迷路・幾何図形・積木模様
<< 言語性下位検査 >>
・知識・単語・算数・類似・理解・文章(補充問題)

 

■小学生・中学生の場合:ウェクスラー式知能検査のWISC-V(5〜16歳11ヶ月)
【 問題構成 】
<< 動作性下位検査 >>
・絵画完成・符号・絵画配列・積木模様・組合せ・記号探し・迷路
<< 言語性下位検査 >>
・知識・類似・算数・単語・理解・数唱

 

■成人の場合:ウェクスラー式知能検査のWAIS-V(16〜89歳)
【 問題構成 】
<< 動作性下位検査 >>
・絵画完成・符号・積木模様・行列推理・絵画配列・記号探し・組合せ
<< 言語性下位検査 >>
・単語・類似・算数・数唱・知識・理解・語音整列

 

●知能検査で分かる特徴の事例

 

【絵画完成】
・検査:電話の数字がひとつ足りない絵を見て穴埋め問題が出来なかった場合
・実生活:全体を把握することが苦手

 

【符号】
・検査:数字に対応する記号を多く書く問題で、あまり書けなかった場合
・実生活:黒板を書き写すのが苦手。写し間違いや漢字などの覚え間違いが多い。

 

【絵画配列】
・検査:意味が通じるようにカードを並び替える問題が出来なかった場合
・実生活:時系列を理解することが苦手。行動や結果の予測が苦手。

 

【積木模様】
・検査:モデルの積木の模様を見て、同じ模様を作ることが出来なかった場合
・実生活:全体を見て、各部分に分解できない。

 

【組み合わせ】
・検査:部分を組み合わせて、ひとつのモノを作ることが出来なかった場合
・実生活:話しを聞いて全体を想像できない。計画を立てる際に必要なモノが分からない。

 

【記号】
・検査:左側にある記号と同じモノを右側の選択肢から選ぶことが出来なかった場合
・実生活:選択問題が苦手。漢字などの判別が苦手。

 

【迷路】
・検査:迷路問題が解けなかった場合
・実生活:先読みして行動することが苦手。

 

【知識】
・検査:一般常識の質問に上手く答えることが出来なかった場合
・実生活:教えられた通りに理解し覚えることが苦手。自分なりの理解で行動してしまう。

 

【類似】
・検査:口頭による質問で出された2つのモノの似ている点を答えることが出来なかった場合
・実生活:心情・感触・用途・色・形など、様々な側面からものごとを捉えることが苦手。

 

【算数】
・検査:口頭で出された算数の問題に答えることが出来なかった場合
・実生活:演算への置き換え・文の概念化・符号化・計算などを行うことが苦手。

 

【単語】
・検査:口頭で出された単語の意味を答えることが出来なかった場合
・実生活:相手の話を理解するのが苦手。不適切な言葉を使ってしまいがち。

 

【理解】
・検査:社会のルールなどの質問に答えることが出来なかった場合。
・実生活:困ったときに、どうすべきか判断するのが苦手。他人を理解するのが苦手。

 

【数唱】
・検査:聞いた数字を順番通り又は逆順に答えることが出来なかった場合
・実生活:指示された内容や順番を記憶するのが苦手。番号や時間などを間違って覚えがち。

スポンサード リンク


 

 

アスペルガー症候群の診断基準関連ページ

アスペルガーの二次障害
アスペルガー症候群の小学生に併発する障害というモノがあります。それらによって不登校になることも…。そのため、どのような二次障害があるのかを知って…
早期発見と躾(しつけ)
アスペルガー症候群であることの認識の有無には雲泥の差があります。しかも、その認識は早ければ早いほど良いのですが、アスペルガー症候群の子供を教育・躾(しつけ)するためには…
自閉症スペクトラム
アスペルガー症候群の診断基準はあります。その基準に当てはめると、アスペルガー症候群ではないと診断される人がいます。しかし、アスペルガー症候群と診断されなかったとしても、グレーゾーンにいる人が…
アスペルガー症候群の性格
アスペルガー症候群の小学生の性格について解説しています。アスペルガー症候群の子供の性格は大きく分けると3つ挙げられるのですが…
五感の過敏と鈍感
アスペルガー症候群の小学生の場合、五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・臭覚)が敏感であったり、逆に鈍感であったりします。その五感について解説しています。
併発しやすい病気・症状
アスペルガー症候群であるがために併発する病気などがあります。個人差はありますが、それらを知ることで気を付けなければならないことも明確になります。